三菱 艦上戦闘機「烈風」

海軍:昭和19年初飛行、昭和20年制式採用、終戦のため量産されず

烈風
艦上戦闘機「烈風」試作機

 昭和15年末、海軍は零式艦上戦闘機の後継機として、零戦の性能向上型の開発とは別に三菱に対して十六試艦上戦闘機の開発を指示した。しかし当時の三菱は他機種の生産や開発で手一杯であったため、この指示は見送りとなり、昭和17年に改めて十七試艦上戦闘機として計画は再開された。
 三菱側は零戦や雷電に引き続き堀越技師を主務者に据え設計を開始したが、三菱側の要求である自社製エンジンの搭載は陸軍に認められず、中島製「誉」エンジンを搭載しての開発となった。
 完成した試作機は試製烈風と名付けられ、この機体は高速・重武装でしかも零戦なみの運動性能が求められていたために大型の機体となり、一応零戦以来のすっきりしたシルエットはしていたものの、発動機の出力が予定よりも低かったので要求された性能は得られなかった。これにより烈風の開発計画は頓挫寸前まで行ったのだが、昭和19年10月になってようやく完成した自社製新型エンジン(ハ43−11)を装備したところほぼ所期の性能を満たすことができ、一時は生産中止が決定されていたものの昭和20年6月に「ハ43」搭載型が烈風一一型として制式採用となった。
 しかし上記のような開発の遅れや最重点生産機の決定時の不手際から生産着手が遅れたため、量産1号機が完成する直前に終戦となり、実戦には参加できなかった。

機体詳細データ(艦上戦闘機「烈風」一一型[A7M2])
全長10.98m全高 4.29m
全幅14.00m翼面積31.30m2
自重3,266kg最大重量4,720kg
最高速度629km/h(高度5,660m)上昇限度10,900m
航続距離1,600kmプロペラVDM定速4翅
発動機三菱「ハ43」一一型(MK9A)空冷複列星形18気筒 離昇出力2,200馬力×1基
乗員数 1名総生産機数 8機
武装20ミリ機関砲×4、60キロ爆弾×2
主要タイプ 試製烈風(A7M1):試作機。「誉」二二型(離昇2000hp)発動機搭載。後に「ハ43」へ換装
一一型(A7M2):制式採用型。「ハ43」一一型(離昇2200hp)発動機搭載
烈風性能向上型(A7M3):「ハ43」五一型(離昇2200hp)発動機搭載。高々度戦闘向き。未完成
試製烈風改(A7M3-J):排気タービン付き「ハ43」一一型搭載の高々度迎撃機。未完成