三菱 四式重爆撃機「飛龍」(キ67)

陸軍:昭和17年初飛行、昭和19年制式採用、昭和20年生産終了

飛龍
四式重爆撃機「飛龍」

 昭和14年に陸軍は三菱重工に対して運動性・大量生産性に優れた双発爆撃機の研究指示を行った。当時一〇〇式重爆撃機「呑龍」の審査が進行中だったが、これの後継としての位置づけであった。翌15年9月に試作指示が出され、実物大模型による審査などを経て昭和17年末に試作1号機が完成した。
 審査の結果、速度不足や燃料搭載量不足などが指摘されたものの、改修により期待以上の性能を発揮したため昭和19年8月(12月という説もある)制式採用された。しかし生産型の生産着手は制式採用より前の同年3月から開始されていた。
 本機は四式戦闘機「疾風」とともに、太平洋戦争中最も陸軍の期待がかけられた機体であり、期待にたがわず昭和19年末の台湾沖海空戦などで戦果を挙げ好評であったが、米軍の空襲の激化により生産が思うにまかせず、また完成した機体も沖縄失陥以後は本土決戦に向けて温存され、戦争末期には大きな作戦への参加はなかった。
 機体性能が高かったため、戦局の変化にあわせて数多くの変種(雷爆撃型、防空戦闘機型、電波警戒型、桜弾装備型、特殊攻撃型、誘導爆弾母機型、航続距離延長型等)が当機をベースに製作されたが、これら改修機はどれも少数にとどまっている。

機体詳細データ(四式重爆撃機「飛龍」一型甲[キ67-甲])
全長18.70m全高 5.70m
全幅22.50m翼面積65.85m2
自重8,649kg最大重量13,765kg
最高速度537km/h(高度6,000m)上昇限度9,470m
航続距離3,800kmプロペラVDM電気式定速4翅
発動機三菱四式(ハ104)空冷複列星形18気筒 公称1,810馬力×2基
乗員数6〜8名総生産機数 707機
武装13ミリ旋回機銃×4(前方、胴体左右、尾部)、20ミリ機関砲×1(後方上部旋回)、
航空魚雷×1または800キロ爆弾×1等
主要タイプ 一型甲(キ67-I甲):初期生産型。魚雷搭載は製造番号160以降の機体で可能となった
一型乙(キ67-I乙):後期生産型。尾部銃座が20ミリ機関砲×2となった
一型改(キ67-I改):武装強化型。排気タービン装備のハ104ル発動機を搭載。試作のみ
二型(キ67-II):エンジンをハ214(公称2,150hp)に変更した改良型。試作のみ
「靖国」:海軍指揮下にあった陸軍雷撃隊における雷撃装備型の海軍呼称。非公式な通称だった
※キ67をベースにした特殊装備機・実験機は以下のとおり
雷撃装備実験機:増加試作機に雷撃装備を搭載したもの。雷撃装備は後に標準化された
電波警戒機実験機:電波警戒機タキ1-IIを搭載した実験機
電波高度計実験機(低空用):電波高度計タキ13を搭載した実験機
電波高度計実験機(高々度用):電波高度計タキ11を搭載した実験機
十型爆撃照準具実験機:墜落機から回収した米国製ノルデン照準器を国産化したものを搭載
滑空機曳航装置装備機ク7グライダー曳航用装置の実験機
特別攻撃機「ト」号機:機体内に800kg爆弾×2を固定した特攻専用機。実際に使用された
桜弾装備機(キ167):指向性爆弾『桜弾』(2,900kg)×1の搭載専用に改造された機体
照射機装備機:後上方銃座に40cm探照灯を搭載した機体。キ109乙夜間索敵機の試作機
特殊航続延長機:燃料搭載量増加改修機。マリアナのB-29基地攻撃のために改修された
特殊遠距離襲撃機:航続延長機同様の機体だが、爆撃装備の代わりに下向20mm機関砲×5装備
誘導弾母機:イ号一型甲誘導弾の搭載装備を持つ発射母機改修型
空中運転機:試作エンジン(ハ104ルやハ214フ)の試験用機
キ69:爆撃装備を撤去し射撃装備を増やした編隊掩護機。計画のみ
キ97:胴体を再設計した輸送機型。キ97の項参照。試作中止
キ109:特殊防空戦闘機型。キ109の項参照
キ112:全木製化計画機。計画のみ