空技廠 特殊攻撃機「桜花」

海軍:昭和19年〜20年

外道の兵器、有人ミサイル

桜花一一型
特殊攻撃機「桜花」一一型

 昭和19年(1944年)に海軍の太田特務少尉が提案した有人滑空爆弾による敵艦への体当たり 攻撃を元に軍令部や空技廠が検討の結果、開発された機体。飛行時間も短く、ほとんど直進するしか 無い機体であり、絶対生還が見込めない非人道的兵器であるが、日本の航空戦史を語る上で外せない 機体であるので、この日本の名機コーナーでも紹介することとした。
 最多生産型である一一型はロケット推進(燃焼時間9秒)で、母機となる 一式陸攻から発進し、数十km先の敵艦へ 突入するという攻撃方法を取っていたが、一式陸攻の性能では2トンもある「桜花」を搭載して敵艦隊へ 接近すること自体が困難であり、実戦に投入された機体のうちほとんどが敵艦隊を目にすることなく、母 機もろとも撃墜されている。実際に特攻作戦に投入された機数は55機と言われているが、「桜花」に よる撃沈と確認されているのは米駆逐艦「M・L・エーブル」(昭和20年4月12日沈没)1隻だけで ある。
 「桜花」にはロケットエンジン搭載の他に、ジェットエンジンに変更した型や発進練習用の複座型など の設計が存在したが、機体が生産されたのはロケット推進の一一型とジェット推進の二二型だけといわれ ている。

機体詳細データ(特殊攻撃機「桜花」一一型[MXY7])
全長 6.07m全高 1.16m
全幅 5.12m翼面積6.00m2
自重 440kg最大重量2,140kg
最高速度648km/h(海面高度)上昇限度搭載母機により異なる
航続距離37km(高度3500mで発進)プロペラなし(ロケット推進)
発動機四式一号二〇型ロケット 静止推力800kg×3(燃焼時間9秒)
乗員数 1名総生産機数約155機
武装機首に1,200kgの爆薬を搭載
主要タイプ 一一型(MXY7):一式陸攻を母機とするロケット推進機。爆薬1,200kg搭載
練習用滑空機(MXY7-K):一一型から爆薬・推進機構を撤去、着陸ソリ装備。練習用
仮称二一型:一一型と同様の推進機構だが爆薬量を600kgに減じた機体。計画のみ
仮称二二型銀河を母機とするジェット推進機。爆薬600kg搭載
仮称三三型連山を母機とするジェット推進機。爆弾800〜900kg搭載。計画のみ
仮称四三型:三三型を潜水艦カタパルトから発進できるようにした機体。計画のみ
仮称四三乙型:三三型を陸上基地カタパルトから発進できるようにした機体。計画のみ
仮称四三型練習機:一一型を複座化したカタパルト発進用練習グライダー
仮称五三型:三三型を航空機曳航式とした機体。計画のみ