中島 艦上偵察機「彩雲」

海軍:昭和18年〜20年

高速を誇ったWW2唯一の艦上専用偵察機

彩雲
艦上偵察機「彩雲」一一型

 海軍は太平洋戦争開戦前から計画のあった高速艦上偵察機の計画を元に、昭和17年に中島飛行機に開発命令を 出した。これを受けて中島飛行機は同社の天山艦攻に似 た機体に胴体カメラと観測用開口部を設け、「誉」一一型発動機を搭載した原型機を昭和18年5月に完成させた が、同エンジンでは満足できる性能を示さなかったため、より強力な「誉」二一型発動機を搭載して昭和19年に 艦上偵察機「彩雲」として制式採用された。
 第二次大戦中に開発された唯一の専用設計艦上偵察機であるが、既に戦況は連合軍に押され劣勢となっていたた め艦上運用はされなかった(運用できる航空母艦が残っていなかった)。しかし当機は海軍最高速の偵察機として サイパン、マーシャルなどの南方戦域を中心に陸上基地から運用され、連合軍戦闘機の追随を許さぬ高速で偵察活 動に従事した。このとき米艦上機の追撃を振り切った際に発した電文「我に追いつくグラマン無し」は当機の高速 性を示す実例として有名である。また長距離航続が可能なため偵察・索敵以外にも特攻部隊の誘導・戦果確認など にも従事した。高速による生存性の高さは終戦時の残存数にも現れており、終戦時においても総生産機の約半数で ある173機が残存していた。
 この高速性に目を付けた海軍では夜間戦闘機型や排気タービンを装備したエンジン搭載の高々度迎撃戦闘機型の 試作も試みており、高々度型こそ他の試作機同様排気タービンの不調から実用化には至らなかったものの、斜銃装 備の夜間戦闘機型は本土防空で活躍している。

機体詳細データ(艦上偵察機「彩雲」一一型[C6N1])
全長11.00m全高 3.95m
全幅12.50m翼面積25.50m2
自重2,968kg最大重量5,260kg
最高速度610km/h(高度6,100m)上昇限度10,740m
航続距離3,080〜5,300kmプロペラハミルトン定速3翅
発動機中島「誉」二一型(NK9H)空冷複列星形18気筒 公称1,825馬力×1基
乗員数 3名総生産機数 398機
武装7.92ミリ機銃×1(後方旋回)(夜戦改造型は20ミリ斜銃×1〜2)
主要タイプ 一一型(C6N1):「誉」二一型(公称1825hp)発動機搭載。量産型。斜銃装備型も少数が生産された
試製彩雲改(C6N2):別称一二型。排気タービン付「誉」二四ル型発動機搭載の試作機
試製彩雲改一(C6N3):C6N2に20ミリ斜銃を搭載した高々度夜間戦闘機型の計画呼称
試製彩雲改二(C6N4):排気タービン付「ハ43」一一ル型発動機搭載の計画呼称
試製彩雲改三(C6N5):別称二一型。艦上攻撃機への転用型計画呼称
試製彩雲改四(C6N6):機体を全木製化する計画呼称。部分木製化の計画もあった