川崎 キ78高速研究機

陸軍:昭和17年初飛行、研究機のため量産されず

キ78
キ78高速研究機「研三」

 昭和13年に設計された帝大航空研究所の航研長距離機が周回航続距離で公認世界記録を樹立したことで 日本の航空機設計技術は世界トップレベルへ辿り着いた。その後陸軍では純粋な研究的側面から「実用性の 高い長距離機」「高々度飛行の研究機」「高速飛行の研究機」の設計開発を帝大航空研究所に依頼し、それ ぞれの機体を「研一」「研二」「研三」と呼称した。その結果開発されたのが「航空研究所試作長距離機」 (略して『航研機』)と 「ロ式B試作高々度研究機」、そしてこの「キ 78高速研究機」である(なお航研機には「研一」などの愛称はつけられていないとする説、またロ式Bは 「航二」と呼称されたとの説もある)。
 新設計の層流翼を採用し、可能な限り空気抵抗を減らす為リベット1本1本にまで気を使った機体は、で きるだけ小型にまとめられており、発動機はダイムラーDB601をチューンアップした物が使用されている。
 昭和17年11月に完成したキ78は、約1年間のべ32回の試験飛行を行い時速699.9km/hの 日本機最高速度記録を樹立した。しかし既に欧米諸国で量産が計画されている機体はこの速度レベルに達し ており、時すでに遅しの感は否めない。
 川崎航空機工業ではこの機体を元に、液冷X型やH型エンジンで三千馬力を発揮し、時速800キロ オーバーを目指した本格的高速研究機を第2号機として考えていたが、戦局の悪化により実現しなかった。
 昭和19年に最後の飛行試験を終えたキ78は川崎航空機工業岐阜工場に放置され、終戦時米軍に接収され た時にはスクラップ同然の荒れ果てたものとなっており、そのままスクラップ処理されてしまったと伝えら れている。戦時中の非公式記録とは言え、現在まで破られていないレシプロ機日本最高速度記録を出した機体の 最期としては呆気なさすぎるものであろう。

機体詳細データ(キ78高速研究機[キ78])
全長 8.10m全高 3.06m
全幅 8.00m翼面積11.00m2
自重1,930kg最大重量2,300〜2,424kg
最高速度699.9km/h(高度3,527m)上昇限度8,000m
航続距離 600kmプロペラVDM定速3翅
発動機ダイムラーベンツDB601A改液冷倒立V型12気筒 離昇1,550馬力
乗員数 1名総生産機数 1機
武装武装なし
主要タイプ キ78:派生・改良型は無し。研究実験機のため量産化されず