川崎 キ64試作戦闘機

陸軍:昭和18年初飛行、開発中止のため量産されず

キ64
試験飛行に飛び立つキ64試作戦闘機

 昭和15年、陸軍は高速重武装の戦闘機開発を川崎航空機工業と行うことにした。陸軍内部では格闘戦思想の 強い軽戦闘機が主流であったのだが、海外の機体が高速重武装化しているのを受けてのことであった。
 川崎航空機工業は「高速を発揮するためには機体断面を小さくして空気抵抗を押さえる必要がある」と考え、 エンジンは液冷を使用することに定めたのだが、当時国内で入手できる液冷エンジンは一千馬力級がせいぜい で、これでは思った以上の高速を発揮することはかなわなかった。
 そこで考えられたのが2基のエンジンを串型(操縦席を挟んで前後)に配置して、それぞれのエンジンで機首 につけた二重反転プロペラを回すという方法であった。この場合胴体側(機体後部)に設置したエンジンの冷却 方法が問題となるため、ドイツから輸入した ハインケルHe100の冷却装置を 参考に、三式戦闘機「飛燕」を改造した機体が製 作された。これがキ64試作戦闘機である。
 これまでに経験したことがない設計だっただけに試作機の製作には時間がかかり、試作1号機が完成したのは 昭和18年末となった。斬新な試みだった蒸気表面(加圧蒸発)冷却装置の不具合や、構造上の問題から数度飛 行試験を行った時点で後部エンジンの発火事故をおこし緊急着陸を余儀なくされ、戦局の悪化もあってそのまま キ64開発計画は中止となり、日本最高速戦闘機の夢は潰えてしまった。

機体詳細データ(キ64試作戦闘機[キ64]:性能値は推定)
全長11.03m全高 4.25m
全幅13.50m翼面積28.00m2
自重4,050kg最大重量5,100kg
最高速度690km/h(高度5,000m)上昇限度12,000m
航続距離1,000kmプロペラ定速3翅×2(二重反転式)
発動機川崎ハ72-11(ハ201)液冷倒立V串型24気筒 公称2,200馬力(連結エンジン)
乗員数 1名総生産機数 1機
武装20ミリ機関砲×2〜4を搭載予定していた
主要タイプ キ64:派生・改良型は無し。試作のみ