アメリカから輸入した
ロ式輸送機の
示す性能に満足した陸軍は、立川飛行機に同機のライセンス生産を行わせると共に、川崎航空機工業に対して
搭載量の増加と翼端失速性の改善を目的とした改良型開発を指示、これにキ56と機体番号を付けた。
指示を受けた川崎航空機工業ではロ式輸送機の胴体を延長、フラップの改修や大型貨物扉の新設、
国産発動機への換装などを盛り込んだ試作機を昭和15年末に完成させた。計画当初は貨物輸送機と
して設計されていた(そのため仮称ロ式貨物輸送機と呼ばれていた)が、実用審査途中に患者輸送機や
降下部隊用輸送機としても使用できるように改修指示が出たため、荷室内部に客席を設置可能なよう改修
されている。昭和17年2月に一式貨物輸送機として制式採用されたが、生産は前年の昭和16年から
開始されている。
最高速度などの飛行性能はロ式輸送機よりも低下してしまったが飛行安定性は向上し、特にロ式で
は操縦士泣かせだった低速時安定性や離着陸時の危険性が改善されている。太平洋戦争では陸軍落下
傘部隊の母機としてパレンバン攻略に参加したのをはじめ、終戦まで兵員・物資輸送に活躍した。
余談だが本家の米国ロッキード社でもロ式輸送機のベースとなったエレクトラ輸送機の安定性不足
には手を焼いたようで、当機同様に胴体を延長して安定性を高めたロードスター輸送機が開発・生産
されている。ちなみにエレクトラ輸送機、ロードスター輸送機とも軍事汎用型への改修型が存在し、
それぞれ
ハドソン、
ベンチュラと
して連合国軍や戦後の西側各国軍により使用されている。