空技廠 艦上爆撃機「彗星」

海軍:昭和15年〜20年

戦闘機より優速な艦上爆撃機

彗星一一型
艦上爆撃機「彗星」一一型

 海軍は昭和12年にドイツの ハインケルHe118急降下爆撃機の 国産化を計画したが、機体構造と量産準備などの点で計画を中止せざるを得なくなった。
 そこで、新たに高性能を目指した艦上爆撃機の開発を空技廠で行うこととし、昭和15年に試作1号機が完成したが、 急降下爆撃機として使用するには機体強度が不足しており、とりあえず昭和17年に 二式艦上偵察機として制式採用しておき、必要な改修を行う こととなった。
 肝心の艦上爆撃機としては昭和18年末に制式採用、「彗星」と命名された。主に南太平洋を中心に活動したが、 液冷エンジンの不調による稼働率の低さに悩まされており、後に空冷エンジンに変更した機体も製作されている。
 戦局の悪化に応じて、斜め銃付戦闘機型等の変形も試作された。また、戦争末期には特攻機として多用された。 航空戦艦となった「伊勢」および「日向」に 当機を搭載する計画のため数機が射出機対応の改修を施されたが、この計画は実現されなかった。

機体詳細データ(艦上爆撃機「彗星」一二型[D4Y2])
全長10.22m全高 3.30m
全幅11.50m翼面積23.60m2
自重2,440kg最大重量3,650kg
最高速度580km/h(高度5,250m)上昇限度10,700m
航続距離1,463〜3,604kmプロペラハミルトン定速3翅
発動機愛知「熱田」三二型液冷倒立V型12気筒 公称1,340馬力×1基
乗員数 2名総生産機数2,157機(空冷型等含む)
武装7.7ミリ機銃×3、500キロ爆弾×1、30キロ爆弾×2
主要タイプ 一一型(D4Y1):「熱田」二一型(公称1,010hp)発動機搭載の初期型
一二型(D4Y2):「熱田」三二型(公称1,340hp)発動機搭載。風防形状、照準器変更
一二甲型(D4Y2a):後部旋回機銃を13ミリ口径に変更した機体
一二戌型(D4Y2-S):20ミリ固定機銃(斜銃)4丁を搭載した夜間戦闘機試作機
二一型(D4Y1改):一一型をカタパルト射出可能に改造した機体。航空戦艦搭載用
二二型(D4Y2改):一二型をカタパルト射出可能に改造した機体。航空戦艦搭載用
二二甲型(D4Y2a改):二二甲型をカタパルト射出可能に改造した機体。航空戦艦搭載用

彗星三三型
艦上爆撃機「彗星」三三型

 艦上爆撃機「彗星」に搭載された「熱田」エンジンのあまりの不調に困惑した海軍は、昔から使いなれた空冷 エンジンを装備した変形型を設計し、これを「彗星」三三型として採用した。
 これにより、性能は若干低下したものの、稼働率が向上し作戦遂行に必要な機数をそろえられるようになった。
 空冷型発動機搭載型には後部座席を廃し、爆弾倉に800kg爆弾1発を搭載する能力を備えた四三型も製作さ れている。この機体は帰投方位測定装置や後方旋回銃の廃止(昭和20年4月以降に生産された機体は前向き固 定銃も廃止)など装備が簡略化されているが、逆に操縦席の防弾装備は充実されており、さながら特攻専用機の 様相を示している。

機体詳細データ(艦上爆撃機「彗星」三三型[D4Y3])
全長10.22m全高 3.30m
全幅11.50m翼面積23.60m2
自重2,500kg最大重量3,750kg
最高速度561km/h(高度5,900m)上昇限度9,900m
航続距離1,520〜2,890kmプロペラハミルトン定速3翅
発動機三菱「金星」六二型空冷複列星形14気筒 公称1,340馬力×1基
乗員数 2名総生産機数−−−−−
武装7.7ミリ機銃×3、250キロ爆弾×3
主要タイプ 三三型(D4Y3):「金星」六二型(公称1,340hp)発動機搭載。六一型搭載の機体もある
三三甲型(D4Y3a):後部旋回機銃を13ミリ口径に変更した機体
四三型(D4Y4):後席廃止、防弾装備変更、爆弾倉扉廃止などを施した簡略型
五四型(D4Y5):「誉」一二型(公称1,650hp)発動機搭載機。計画のみ