立川 九八式直協偵察機(キ36)

陸軍:昭和13年初飛行、同年仮制式採用、昭和19年生産終了

九八直協
九八式直協偵察機

 地上軍が必要とする情報(砲撃着弾の修正や対峙する敵部隊の動向など)を収集し、地上部隊と協力した 局地的な対地攻撃任務にも使用される機体が直協偵察機と呼ばれる機種である。
 日華事変勃発直後にはフランス人技師ベルニスが設計した 九二式偵察機が本任務に就いていたが、いかにも 旧式化していたため、昭和12年に後継機開発が立川飛行機へ指示された。そこで開発されたのがキ36で 昭和13年に九八式直協偵察機として採用された。
 外国の対地協力偵察機は下方視界を良くするために高翼のものが多かったが (例:米陸軍L−3グラスホッパー、 独空軍He46、 英空軍ライサンダーなど)、 キ36ではあえて低翼を採用している。 これは高翼機より高速が望めるし、頑丈な主脚を採用できるため不整地での運用が可能になるからである。下 方視界を広めるため、極端な後退角を持った主翼や後方へ広くスライドできる風防などが採用されている。こ のクラス(500馬力未満)の実用機としては日本で初めて可変ピッチプロペラを採用した機体でもある。
 地味な機体ながら偵察・対地攻撃に活躍し、昭和15年に一度生産を終了したものの、太平洋戦争開戦ととも に緊急生産機体として製造が再開されたことは、当機の優秀性と同任務の重要性を示していると言えよう。
 陸軍の保有した上陸舟艇母艦神州丸へ搭載するため、カタパルト発進装置を装備した機体も計画されたが、こ れは試作実験のみに終わっている。戦後も日本軍が東南アジア各地に残した機体を現地軍が接収し、植民地から の独立戦争等に使用されるなど息の長い機体であった。

機体詳細データ(九八式直協偵察機[キ36])
全長 8.00m全高 2.80m
全幅11.80m翼面積20.00m2
自重1,247kg最大重量1,660kg
最高速度348km/h(高度1,800m)上昇限度8,150m
航続距離1,300kmプロペラハミルトン可変ピッチ2翅
発動機瓦斯電(日立)九八式(ハ13甲)空冷星形9気筒 公称470馬力×1基
乗員数 2名総生産機数1,333機
武装7.7ミリ機銃×2(前方固定、後方旋回各1)、12.5キロ小型爆弾×10または
15キロ小型爆弾×10または250キロ爆弾×1
主要タイプ 九八式直協偵(キ36):ごく少数の実験機を除き、派生・改良型は無し