中島 一〇〇式重爆撃機「呑龍」(キ49)

陸軍:昭和14年初飛行、昭和16年仮制式採用、昭和19年生産終了

呑龍
一〇〇式重爆撃機「呑龍」

 九七式重爆撃機が採用となった直後の昭和12年末 に、陸軍は中島飛行機へ対して「戦闘機の護衛を必要としない高速重武装の爆撃機」の試作を指示した。これは大 陸における長距離爆撃行の戦訓を汲んだもので、陸軍としては敵飛行場爆撃を狙った航空撃滅戦を想定したもので あった。要求事項は最高速度500キロ/時以上、航続距離三千キロ以上、20ミリ機関砲の搭載、尾部銃座の採用な ど九七重爆を大幅に上回ったものであり、要求どおりに完成すれば画期的な機体となるはずであった。
 しかし昭和14年完成した試作機は速度・爆弾搭載量が陸軍の期待を下回っていた。だが搭載武装の点では要求 を満たし九七重爆より格段に優れていたため、「将来の性能向上に期待する」ということで昭和16年に採用となっ た(九七重爆は二型の開発も完了しており、これ以上の性能向上が期待できなかったことも採用の大きな要因であった)。
 太平洋戦争開戦を前後して部隊配備が行われたが、初の実戦投入は昭和18年のオーストラリア・ポートダーウ ィン爆撃からで、フィリピン作戦など主に南方戦線で活躍した。また本機に20ミリ機関砲×5、12.7ミリ機 関銃×3を装備した多座重戦闘機(キ58)も3機試作されたが採用には至っていない。 

機体詳細データ(一〇〇式重爆撃機「呑龍」一型[キ49-I])
全長16.80m全高 4.25m
全幅20.42m翼面積67.50m2
自重6,070kg最大重量10,150kg
最高速度490km/h(高度5,200m)上昇限度9,000m
航続距離2,000〜3,400kmプロペラハミルトン油圧式定速3翅
発動機中島一〇〇式(ハ41)空冷複列星形14気筒 公称1,260馬力×2基
乗員数 8名総生産機数 796機
武装7.7ミリ機銃×5(前方、後方、後下方、胴体左右側方各1)、20ミリ機関砲×1(後上方旋回)、
爆弾最大1,000kg
主要タイプ キ49:ハ5改(離昇950hp)またはハ41発動機搭載の原型・生産前機
一型(キ49-I):一〇〇式(ハ41)発動機搭載の初期生産型
二型(キ49-II):二式(ハ109:公称1440hp)発動機搭載の改良型原型。ラチエ電気式3翅ペラ
二型甲(キ49-II甲):二型生産型。7.7mm機銃を7.92mmに変更。後下方機銃を連装化
二型乙(キ49-II乙):防御用7.7mm機銃のうち3丁(後に全部)を12.7mm口径のものに変更した機体
二型丙(キ49-II丙):武装を廃止しタキ1電波警戒器を搭載した哨戒機型
三型(キ49-III):ハ107(公称2200hp)発動機搭載の性能向上型。武装は二型乙と同じ。試作のみ
キ58:二型をベースに機銃武装を強化した掩護戦闘用機体。試作のみ
キ80:二型をベースにした爆撃隊指揮官搭乗用の航路先導機。試作のみ
輸送機型:16人程度の客席を備えた輸送機改造型。計画前段階で中止