中島 四式戦闘機「疾風」(キ84)

陸軍:昭和18年初飛行、昭和19年制式採用、昭和20年生産終了

キ84
四式戦闘機「疾風」

下記写真はデアゴスティーニ社発行「隔週刊 第二次大戦傑作機コレクション」付属の模型です(クリックで拡大(要Javascript))
疾風
第7号(2016.05.31)
四式戦闘機「疾風」甲 1945年
日本陸軍第22戦闘飛行隊所属機


 昭和16年に陸軍の試作戦闘機(キ84)として開発がスタートした機体。当初はキ44(二式単戦「鍾馗」)の出力向上型としてハ45発動機搭載型が計画されていたが、同年末にハ45装備の新型機開発へ切り替わったものである。設計基礎事項としては最高速度時速680キロ以上、上昇力高度5,000メートルまで4分半以内、航続力はキ43(一式戦「隼」)と同等以上、武装20ミリ機関砲×2、13ミリ機銃×2という強力なものであった。着陸速度が非常に高く扱いにくかったキ44の経験から、基礎事項には着陸速度はキ44以下であることも盛り込まれている。
 試作を命じられた中島飛行機では、ベテラン設計者である小山悌を主務者にして設計を開始、試作機は昭和18年に完成し、審査試験用増加試作機が83機制作され(最終的には昭和19年6月までに125機の増加試作機を製作)徹底的な審査が行われた。
 制式採用後は別名を「大東亜決戦機」とも呼ばれ、陸軍航空隊一の実力機として活躍した。生産期間が約2年と短いにもかかわらず三千機以上もの機体が生産されており、このことからも本機の優秀さと軍部の期待の大きさがうかがえる。設計は大変優秀なもので、諸外国の二千馬力級戦闘機に比べ小型で運動性能も高く格闘戦にも向いた機体であり、日本機として珍しく防弾や量産性も考慮されていた機体であったが、戦争末期には工員不足や資材劣化による工作不良が原因で故障が多発した。
 なお、戦後本機を接収した米軍が行ったハイオクタン価燃料を使用してのテストで最高速度時速689キロを記録し、最新鋭の米軍機と互角に渡り合える最優秀日本機と言わしめた程であった(ただし、大戦末期になると米英の第一線級戦闘機は時速700キロを超えるようになってきており、当機が最高の性能を発揮したとしても、やはり不利な状況であったことは否めない)。

機体詳細データ(四式戦闘機「疾風」一型甲[キ84-I甲])
全長 9.92m全高 3.38m
全幅11.24m翼面積21.00m2
自重2,698kg最大重量3,890kg
最高速度624km/h(高度6,000m)上昇限度12,400m
航続距離2,500〜2,920kmプロペララチエ電気式定速4翅
発動機中島四式(ハ45)空冷複列星形18気筒 公称1,800馬力×1基
乗員数 1名総生産機数3,488機
武装13ミリ機銃×2、20ミリ機関砲×2(各前方固定)、250キロ爆弾×2等
主要タイプ キ84:原型及び実用試験機、生産前機の呼称
一型甲(キ84-I甲):初期生産型。13mm機銃、20mm機関砲各2
一型乙(キ84-I乙):搭載武装を20mm機関砲×4に変更した武装強化型
一型丙(キ84-I丙):搭載武装を20mm機関砲、30mm機関砲各2に変更した迎撃型
一型丁(キ84-I丁):乙型の機体に20mm斜銃×1を追加装備した夜間戦闘機型
二型(キ84-II):一部構造材に木材を使った機体。武装は乙、丙型に準ずる
※キ84をベースにした発展型等は以下のとおり
サ号機:酸素噴射装置付きハ45発動機の実験機
キ84-III:排気タービン付きハ45ル発動機装備の高々度戦闘機型。計画のみ
キ84-IV:ハ45-44(ハ345)発動機を装備した性能向上型。計画のみ
キ84R:翼面積増大、IV型同様のハ45-44発動機装備の高々度性能向上型。設計中に終戦
キ84P:ハ44-13(離昇2500hp)発動機搭載の高々度戦闘機型。試作のみ
キ106:全木製化計画機。キ106の項参照
キ113:全鋼製化計画機。キ113の項参照
キ116:ハ112-II(公称1350hp)発動機搭載の戦時急造型。キ116の項参照
キ117:ハ44-14(離昇2530hp)発動機搭載の対格闘戦用中高度戦闘機型。設計中に終戦