愛知 九四式艦上爆撃機
海軍:昭和8年〜11年
ハインケルの『特殊爆撃機』

九四式艦上爆撃機
昭和9年(1934年)に当機が九四式艦上爆撃機として採用されるまで、日本海軍は『爆撃機』と
名の付く機体を保有していなかった。これは日本海軍が対戦闘艦艇の攻撃力として航空機を見たときに
爆撃能力よりも雷撃能力を重視していたことと、当時の水平爆撃では戦闘艦艇に対する攻撃力の低さ
などがあったからである。
しかし、急降下爆撃という爆撃方法が発明され、その攻撃方法に耐えうる機体を完成させたとき、
初めて『爆撃機』として採用をおこなったのである。
昭和6年に海軍は6試特殊爆撃機として中島に開発指示をだした。特殊爆撃機とは急降下
爆撃機であることを秘匿する名称であった。中島は空技廠と組んで機体開発を行ったが、性能試験中に
空中分解を起こしてしまった。また、愛知も提携先であるドイツのハインケル社が設計した輸出用機体
He66で開発に臨み、8試特殊爆撃機として海軍に提出した。
中島機が安定した性能を示せなかった所へ、優秀な愛知機が提出されたためこの機体が九四式艦上爆撃機
として採用、日本海軍初の急降下爆撃機となったのである。
日華事変で当機は活躍したが、敵国である中国もハインケルの輸出用機体He66を使用していたため、
敵味方の混同を恐れた中国軍はHe66を前線から下げてしまうという一幕もあったという。
機体詳細データ(九四式艦上爆撃機[D1A1]) |
全長 | 9.40m | 全高 | 3.45m |
全幅 | 11.37m | 翼面積 | 34.05m2 |
自重 | 1,400kg | 最大重量 | 2,400kg |
最高速度 | 281km/h | 上昇限度 | 7,000m |
航続距離 | 1,055km | プロペラ | 固定ピッチ2翅 |
発動機 | 愛知「寿」二型改一空冷星形9気筒 公称460馬力×1基 |
乗員数 | 2名 | 総生産機数 | 162機 |
武装 | 7.7ミリ機銃×3、30キロ爆弾×2または250キロ爆弾×1 |
主要タイプ |
九四艦爆(D1A1):何種類かの発動機搭載が見られるが分類は一種類のみである |