三菱 九八式陸上偵察機

海軍:昭和12年〜15年

陸軍司偵を流用した陸上偵察機

九八陸偵
九八式陸上偵察機一一型

 日華事変が勃発して大陸方面での活動を余儀なくされた日本海軍では広大な中国大陸をカバーできる 偵察機を保有していないことが問題となっていた(海が主戦場の海軍が大陸戦線で?とお思いの諸子も 居るであろうが、海軍も大陸奥地の都市への爆撃行など航空作戦を広く展開していたのである)。それ まで長距離偵察機としては飛行艇を使用していたのだが、速力が低いため防空体制の確立した敵地偵察 には不向きであり艦載水上偵察機も長距離飛行できないためこのような偵察任務には不向きであった。 また、艦上偵察機任務には艦上攻撃機を流用しているような状態であった。
 そこで海軍では九七式艦上偵察機を試作す るとともに民間から三菱の雁一型高速連絡機を徴用して偵察任務に使用することにした。この雁一型高 速連絡機は陸軍の九七式司令部偵察機を民間 型に改造したもので高速力と航続力を兼ね揃えた機体であった。
 この機体の高性能に目を付けた海軍では陸軍の了解のもと、三菱に対して艤装を海軍使用に変更した 機体を発注し、昭和14年に九八式陸上偵察機として制式採用を行った。
 太平洋戦争中は大陸方面や南方方面で偵察・連絡任務に活躍したが、離着陸性能や視界に厳しい意見 を持つ(どうしても艦上機を基準に考えることが多かった)海軍パイロット達には必ずしも好評を持っ て迎えられたわけでは無かったようだ。

機体詳細データ(九八式陸上偵察機一一型[C5M1])
全長 8.70m全高 3.47m
全幅12.00m翼面積20.35m2
自重1,605kg最大重量2,197kg
最高速度470km/h(高度4,280m)上昇限度8,230m
航続距離1,170kmプロペラ固定ピッチ2翅
発動機三菱「瑞星」一二型空冷複列星形14気筒 公称875馬力×1基
乗員数 2名総生産機数 50機
武装7.7ミリ機銃×1
主要タイプ 一一型(C5M1):「瑞星」一二型(公称875hp)発動機搭載
一二型(C5M2):「栄」一二型(公称950hp)発動機搭載。3翅ペラ