三菱 九七式司令部偵察機(キ15)

陸軍:昭和11年初飛行、昭和12年制式採用、昭和16年生産終了

九七司偵
九七式司令部偵察機一型

 昭和10年に提唱された『敵戦闘機より優速な高速力を生かし単身敵地上空へ侵入、戦略的情報を収集する』という 司令部偵察機だったが、陸軍航空本部はこの新機種にあまり乗り気ではなかった。さしあたり三菱へ高速連絡機として 試作指示された機体は陸軍の熱意の無さから逆に余計な注文が付かず、高速力一本に絞った設計を行うことができた。
 そこで昭和11年に完成したのが、このキ15である。試験飛行の結果、前方視界の狭さや離陸距離の過大(これは 高速発揮を狙って機体形状の流線化を図った結果であった)などが指摘されたが、陸軍機としては重大な問題となりえ ないとして昭和12年に九七式司令部偵察機と命名、採用された。
 採用直後に勃発した日華事変では大陸奥深くの敵地の偵察を行い、優速で中国側戦闘機を振り切って幾多の偵察情報 をもたらし、以降ノモンハン事件や仏印進駐など太平洋戦争初期まで活躍した。しかも 一〇〇式司令部偵察機の登場後も引き続き使用 されており、第一線を退いたのは昭和18年頃だった。
 また戦略偵察機の重要さに気づいた海軍もキ15(エンジンを換装したII型)を海軍仕様に改造し、 九八式陸上偵察機として採用、使用している。
 試作2号機は朝日新聞社に払い下げられ「神風」号と名付けられたが、この機体が昭和12年3月に東京−ロンドン 間の連絡飛行に成功したことは有名なエピソードである。

機体詳細データ(九七式司令部偵察機一型[キ15-I])
全長 8.49m全高 3.34m
全幅12.00m翼面積20.36m2
自重1,399kg最大重量2,033kg
最高速度500km/h上昇限度11,400m
航続距離2,400kmプロペラ固定ピッチ2翅
発動機中島九四式(ハ8)空冷星形9気筒 公称550馬力×1基
乗員数 2名総生産機数 437機(一型、二型合計)
武装7.7ミリ機銃×1(後方旋回)
主要タイプ 一型(キ15-I):中島九四式(公称550hp)発動機搭載の初期型
二型(キ15-II):中島九九式(公称900hp)発動機搭載の改良型。カウリング形状が異なる
三型(キ15-III):ハ102(離昇1050hp)発動機搭載の性能向上型。2機試作