中島 九〇式艦上戦闘機

海軍:昭和7年初飛行(改良型NY改)、同年制式採用、昭和11年生産終了

九〇艦戦
横須賀海軍航空隊所属の九〇式艦上戦闘機

 米国のボーイング社と言えば太平洋戦争中は大型爆撃機B−29B−17の開発で、また戦後は大型旅客機やB−52爆撃機などを生産する大型機メーカーとして有名であるが、戦前のボーイング社は小型機、特に戦闘機メーカーとして優秀な会社であった。
 そのボーイング社が製造した戦闘機の代表がボーイングF4B(米陸軍型はP12)である。この機体は米国陸海軍が採用する以外に海外にも輸出されており、昭和5年(1930年)に当機の優秀性に目を付けた中島飛行機も研究用として輸入した。
 折から三式艦戦の後継機を模索していた日本海軍は、英国のブリストル・ブルドッグ戦闘機とボーイング戦闘機の長所を取り込んだ吉田ブルドッグ戦闘機を中島飛行機に試作(社内名称「NY型」)させ色々なテストを行ったが、三式艦戦より若干の性能向上が見られただけに終わったため採用には至らなかった。そこで中島飛行機ではボーイング機の特色を更に取り込んだ改修型機体(社内名称「NY改型」)やその改良型(社内名称「改良NY改型」)を完成させ、これが昭和7年に九〇式艦上戦闘機として制式採用された。
 ボーイング色の強い機体ではあったが日本人が設計した最初の国産艦上戦闘機で、当時の外国主力機にもひけを取らない機体であった。昭和12年頃まで航空母艦の主力艦戦として使用されたほか、陸上基地でも主力戦闘機として重用されている。
 第一線を退いた後は練習戦闘機として使用されているほか、三型の機首を延長して複座化した改修機が中島で試作され、昭和9年に九〇式練習艦上戦闘機として制式採用となっている。

機体詳細データ(九〇式艦上戦闘機三型[A2N1−3])
全長 6.18m全高 3.03m
全幅 9.37m翼面積19.74m2
自重1,045kg最大重量1,400kg
最高速度293km/h(高度2,000m)上昇限度9,000m
航続距離500kmプロペラ可変ピッチ2翅
発動機中島「寿」二型改一空冷星形9気筒 公称460馬力×1基
乗員数 1名総生産機数約140機
武装7.7ミリ機銃×2、30キロ爆弾×2等
主要タイプ NY型:中島で自主開発した試作戦闘機。昭和4年完成。別名「吉田ブルドッグ」
NY改型:発動機換装、軽量化、主翼再設計を施したNY型の改良型。昭和6年完成
改良NY改型:NY改型にさらなる改良を加えた機体
一型(A2N1-1):下翼のみ上反角付き、胴体側面に機銃設置
二型(A2N1-2):燃料タンク側面が胴体両脇に露出。機銃を機種上部に移設
三型(A2N1-3):上翼にも上反角が付く。排気管を集合管式に変更
九〇式練習艦上戦闘機(A3N1):三型の機首を延長し複座化した練習戦闘機。7.7mm機銃×1。66機製造